4つの口腔善玉菌について
▶口腔善玉菌K12とM18
ニュージーランドオタゴ大学による30年にわたる研究で、口臭が出にくい人間が2%の頻度で見つかり、その口腔内に非病原性細菌「Streptcoccus salivalius K12」を保有していることが分かりました。そのK12は静菌性ペプチドSalivaricin Aと殺菌性ペプチドSalivaricin Bを産生することで、その作用を発揮します。K12はこれらの産生物により病原性細菌の付着阻害、そして殺菌効果以外にも、口腔内における免疫調整作用、炎症軽減作用があります。
S.salivariusにはM18という菌株もあり、これはSalivaricin 9という物質を産生し、これはStreptcoccus mutans(S.mutans)を特に抑制します。M18は、dextranseと呼ばれる酵素も産生し、これが歯垢、バイオフィルム、舌苔などを抑制することで口腔内の衛生を保ちます。
▶口腔善玉菌CMUとCMS1
グローバルで1位の口腔乳酸菌専門研究企業Oraticx社は、口腔が健康な子供450人の1640種の菌株のうち、口腔に最も有益なプロバイオティクス、oraCMUとoraCMS1を選別しました。これらの菌株は、過酸化水素をはじめ有機酸、脂肪酸、バクテリオシンなどを産出します。CMUはFn菌(Fusobacterium nucleatum)やP.gingivalis菌、Aggregibacter actinomycetemcomitansを抑制し、CMS1はStreptcoccus mutansを抑制します。
Streptcoccus mutans:口の中で糖類を発酵させて酸を生成させる細菌で、虫歯の主な原因菌 Fusobacterium nucleatum:歯周炎などの歯周病とも密接な関係があり、最近は大腸がんの原因菌として指摘されている
P.gingivali:口臭の主成分であり、揮発性硫黄化合物の生成に関与する
Aggregibacter actinomycetemcomitan:歯槽骨消失を起こし、成人歯の喪失を誘発する慢性炎症性疾患である歯周病の代表的な誘発細菌